基準値きみのキングダム



「姉ちゃんの感覚どうなってんの。死んでんの? 普通、そんだけ高熱あったら自分でわかるだろ」


「なんか変だなー、とは思ったよ」




目覚めたときに、喉のあたりがざらざらするなって。

ちょっと気持ち悪いなって、思ってたけど。


まさか、熱があるとは。




それで、いつも通りお弁当を作っていると、寝ぼけ眼を擦りながらキッチンに入ってきた奈央が私の顔を見るなり『顔赤くね?』って。



指摘されるまで、気づかなかった。



そして改めて体温をしっかり数字で認識すると、言われてみれば……と実感する。



言われてみれば体がだるくて、頭が重くて、扁桃腺がぼこっと腫れていて、目もなんだかしょぼしょぼするような。




心当たりは、ある。



数日前から京香が風邪でダウンしていて、それを付きっきりで看病していたから、きっと、それをもらってしまったの。


子どもの風邪だからうつらない、大丈夫って油断したのがよくなかったみたい。



せめてもの救いは、京香はもう風邪から完全復活してぴんぴんしていることだ。

ちょうど、バトンパスみたく風邪が渡ったらしい。





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