基準値きみのキングダム
(7): ときめき馬車は加速中
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𓐍
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SIDE/ 森下杏奈
次に起きたときには、もう真夜中で、当然、深見くんは帰ったあとだった。
その代わりに、ベッドのそばに「お大事に」って、深見くんらしいさらりとした字のメモが残されていて、その小さな紙を思わず胸の前でぎゅっと抱きしめた。
たった4文字が、心強くて、お守りみたいで。
そして翌朝には熱は下がっていたけれど、奈央に言われるがまま、大事をとってもう1日欠席することに。
結局、2日も休んでしまった。
病み上がり、久しぶりの教室だ。
まだ本調子じゃないけれど、そうも言っていられない。
休んだ分、今日から頑張らないと、と気合いを入れて立ち上がったのだけれど。
あれ……?
おかしいな。
次は化学の授業だから、移動教室のはず。
なのに、クラスメイトは誰ひとりとして教室から動こうとしない。
化学の教科書を抱えたまま、きょろきょろと周りの様子を伺っていると、隣の席の近衛くんのいぶかしげな視線に捕まった。