基準値きみのキングダム


こくんと頷くと、深見くんの体が離れていく。

心臓はまだうるさくて、鳴り止まない。

深見くんは視線を逸らして、ぱたぱたと手で扇ぎながら。




「暑っついな」




と呟いた。



……暑いよ、深見くんのせいで。



こんな風に心臓を大暴れさせているのは、私の方だけなんだと思うと、今度はツキンと痛みが走る。切なくなった。





「衣装さ、どんなのになるんだろうな」

「深見くんならなんでも似合うと思うけど……」





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