基準値きみのキングダム
プレハブの防音室。
1度訪れて以来、お昼ご飯にたまに誘われるようになって、最初に感じた落ちつかなさは、回数を重ねるごとになくなった。
私が混ざっていることにも、みんな違和感を覚えなくなってきたみたい。
「妹と、あと弟もいるんだっけ? 何歳なの?」
「妹が小1で、弟は中2」
「へ〜、けっこう年の差あるんだね。かわいい?」
首を傾げた安曇さんに、ぶんぶん首を縦に振る。
「うん、かわいいよっ。毎日かわいい盛り」
京香は言わずもがな。
奈央は……たぶんかわいいなんて言ったら「子供扱いすんな」って不機嫌になるだろうけど、私にとってはやっぱりかわいい弟で間違いないのだ。
勢いよく肯定した私に、安曇さんが吹き出す。
「ふはっ、親ばかならぬ、きょうだいばか?」
「……そうかも」