基準値きみのキングダム
ぜえぜえと息を切らしながら、3年4組の教室────は、ただいまコスプレ写真館になっているから、その隣の空き教室に飛びこんだ。
「……うぁ」
机にぺたりと突っ伏せる。
穴があったら入りたい、もう手遅れだけど。
たしかに今日中に、深見くんに伝えるつもりではあったけれど、あんなところで、あんな形で、言ってしまうのは想定外。
それでも、こぼれ落ちてしまったものは、仕方ない。
けれど─────と羞恥と後悔とでぐちゃぐちゃになって、じわりと涙まで浮かびかけていた、そのとき。
ガラガラッ、と大きな音を立てて扉が開く。
まさか。
「見つけた」
「……!」
その、まさかだった。
走ってきました、と言わんばかりに肩で息をしながら、深見くんが空き教室に入ってくる。