基準値きみのキングダム
じわり、とまた頬が熱くなる。
恥ずかしくておかしくなりそうで、咄嗟にカーテンの裏に隠れたけれど、無意味だった。
「杏奈」
すぐさま、カーテンを捲られる。
観念して顔を上げると、深見くんと目が合った。
色素のうすい綺麗な瞳が、期待の色に染まっている。
そんな深見くんは羞恥に震える私にも容赦なかった。
「もっかい言ってよ、さっきの」
「っ、うぁ」
「あんな大胆なことできるんだから、それくらい余裕だろ」
「……意地悪」
「空耳だったら嫌だし。ちゃんと、聞いときたいんだけど」
じっと私の目を見つめて、逃がしてくれる気はないらしい。
そろりと手を伸ばして、深見くんの袖を、掴んだ。
きゅっと引いて、口を開く。
「好き、です」