基準値きみのキングダム
私の足にしっかりパンプスがはまったのを確認して、深見くんは、跪いたまま、ふっと柔らかく笑う。
「俺も、好き」
「……っ、うん」
「嘘じゃないって、もうわかった?」
「……ごめんなさい」
謝ると、深見くんは「ふは」と声を上げて笑う。
「いーよ。杏奈の大胆な告白、すげえ嬉しかったし」
「お願いだから忘れて……!」
「そんなもったいないこと誰がするかよ」
大真面目な顔でそう言った深見くんは、膝についたほこりをぱん、と払いながら立ち上がった。
そういえば。
「深見くん、その格好……」