基準値きみのキングダム



𓐍
𓈒



向かった先は、駅の近くの大きな商店街。


というのも、文化祭のファッションショーに出演した景品にって、服飾部から、商店街で使える金券をもらったからだ。



最後の最後で、ステージから走り去ってしまった私には受け取る資格はないと思ったのだけど、内海さんに「いいもの見せてもらったから!」と半ば押しつけられるように渡されてしまった。




ちなみに、私が突然逃走したあとのステージは、司会の生徒会長がなんとかまとめてくれたのだと、クラスメイトが教えてくれた。

正直、もうあれは黒歴史になってしまったから、早く忘れてしまいたいけれど……。





ともかく、商店街でからあげやお団子を食べ歩きしたり、ウィンドウショッピングをしたり。


映画を観るわけでも、遊園地や水族館に行くわけでも、なにかイベントに参加するわけでもなく、特別なことはしなかったけれど。



特別ななにかに頼らなくても、深見くんと過ごす時間は楽しくて、あっという間に夕暮れどきになってしまった。





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