基準値きみのキングダム
「え……っ、もう?」
「あー、……あんま、煽るなって」
バタン、と恭介が仰向けに倒れ込んだ。
背中からベッドに沈む。
はー、と深い息をついて、呟いた。
「危なかった。止まんなくなるかと」
「……?」
「なんか……俺の部屋に杏奈がいるって実感したらふつうに興奮して、理性とかどっか飛んでった」
がっついてごめん反省してる、って呟いた恭介の余裕ない瞳と目が合う。
いいんだけどな。
恭介なら全部もらっていいよ、あげるよって思っているけれど……、恭介が私を大切に思ってくれていることがひしひし伝わってきたから、今はまだ、それに甘えていよう。
「……そうだ、杏奈に渡すものあったんだった」
ふー……とクールダウンするように息をついて、恭介が立ち上がる。
その姿を目で追うと、部屋の隅につまれた段ボールが目に入ってきた。