基準値きみのキングダム
(5): シャンデリアは眩くとがる
♡
𓐍
𓈒
週明けの月曜日。
「ねえ」
2時間目が終わり、次の授業は体育。
ジャージとシューズを片手に、体育館に移動しようと教室の扉から廊下に出ると。
「ちょっと、無視しないでよ。森下さん」
「……私?」
扉の外で待ち構えていた誰かに呼び止められた。
完全にふいうちで、驚いて顔を上げる。
そこにいた人物に、さらに困惑した。
「上林、さん?」
視界に入れて、まず、「かわいすぎる」と思う。
ゆるく巻いた胸の下あたりまで伸びた栗色の髪、前髪はシースルーで毛先がカールしていて、睫毛もくるんと持ち上がってて。
瞳がきゅるっと大きくて、肌は透けて向こうが見えそうなほどまっしろですべすべ。
折れちゃいそうなくらい細い足は、スカートを何回折っているのかはわからないけれど、膝まであらわになっている。