基準値きみのキングダム


𓐍
𓈒



上林さんに昼休み、誘われたような気がしたのは果たして現実……?



考えごとをしている間に、あっという間に昼休みがやってくる。

ぼんやり座ったままでいると、とんとんと肩を叩かれた。




「森下さん。上林さんが呼んできてって……ほら、あそこで待ってる」




クラスメイトの清水さんが指さす先、教室の扉のところに、たしかに上林さんが立っていた。


私が視線を向けると、そのことに気づいた上林さんがにこっと笑みを浮かべて、かわいい仕草で手招きする。



あのお誘いは、現実だったみたい。


清水さんにぺこ、と会釈してから、お弁当を持って、慌てて上林さんの元へと駆け寄った。




「行こっ」




合流するなり、そう言った上林さん。


行くって、どこに? と尋ねる間もなく、すたすたと廊下を歩き始めるから、よくわからないままその背中を追いかけた。




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