売れ残りですが結婚してください
「本当にこれで良かったのかしら」

翠が２階にいってしまうと冴子はガクッと肩を落とした。

「翠はいいって言ってただろ？」

忠明のいい加減な言い方に冴子は苛立ちを感じずにはいられない。

「そうじゃないの。本当なら普通は好きな人と結婚するものよ。だけど翠はそれが許されないのよ。みたこともない人と結婚する……じゃなくて結婚させられる様なものよ。そう思ったらあの子が不憫んで」

冴子は大きなため息を吐くと忠明をにらみ話を続けた。

「私がもし翠みたいに結婚式当日まで結婚相手を見ることができなく、初めてあった人があなただったらその場で逃げ出すと思うわ」

「はあ？なんでここで俺が出てくるんだよ。俺たちはお見合いでも許嫁でもなく恋愛結婚だっただろ？好きで結婚したのに逃げるって……」

忠明は鯉の様に口をパクパクさせた。

「そう私たちはお互いのことを知って納得して結婚したの。でもね翠はそうじゃない。私たちとは違うの。だからせめて」

「せめて何？」

「古川の御曹司の顔情報ゲットしてきて」

「えええ？そこ？」
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