売れ残りですが結婚してください
石神はそういったが、本音は全く違っていた。

せっかく男性と出かけるのだから少しぐらいおしゃれしなきゃダメ。

それに翠は全く会ったこともない男性と結婚をしなくてはならない。

もしかすると今回のデートが翠にとっては最初で最後かもしれない。

そんな翠にデートをしたと言う思い出を作って欲しかったのだ。

だが、そんなことを訴えたとしても翠が純粋に受け止めるとは思えない。

男性から誘われた時点でデートなのにそれすら気づかないような翠だ。

だからシュウの名を出さずに訴えた。

「そうですよね」

案の定翠は石神の言葉に納得した。

「そうと決まったら服買いに行かない?私が翠ちゃんにぴったりな服選んであげる」

「いいんですか?」

「いいわよ〜」

そういって石神は翠の初デートの為に服を選んだ。

だが、これを選ぶまでの道のりは長かった。

石神は普段見れない翠のワンピース姿が新鮮であれやこれやと試着させた。

選ぶのを楽しむ石神とは正反対で試着を繰り返す翠は疲れが増すばかり。

結局10着以上試着した翠が選んだのは2着目に着た紺のワンピースだった。

Vネックのロング丈ワンピース。色は落ち着きのある紺色。

ウエスト部分のリボンがベルトがわりになっている。

派手すぎず何より翠のVネックから見える綺麗な鎖骨と白い肌がより女性らしさを引き立たせていた。
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