売れ残りですが結婚してください
それから２人がカフェを出たのは３０分後だった。

翠は店を出ると時刻表を確認するためスマートフォンを取り出した。

そんな翠を見てシュウが声をかける。

「翠さん。何してるの？」

「時刻表を確認しようかと思いまして……」

だがシュウは「電車には乗らないよ」と言った。

「え？」

「僕の車で行くんだよ。さあ行こう」

てっきり電車だと思い込んでいた翠は戸惑いを隠せなかった。

カフェにほど近いパーキングに着くとシュウは黒いスポーツカーの助手席側を開けた。

「先に乗って待ってて。駐車代払ってくるから」

「は、はい」

翠は急に緊張しだす。

男の人と車に乗るなんて父親以外今日が初めてだからだ。

しかも見るからにすごくスピードが出そうな車。
戸惑いながらも車に乗り込むと座席のシートが運転席と翠の座る助手席しかない。

おまけにシートは革張りで自分の乗っている軽自動車とは比べ物にならないほどの座り心地の良さ。

この車絶対高級車だ。

もしかしてシュウと言う人はお金持ち？戸惑いつつシートベルトに手をかけたその時だった。
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