売れ残りですが結婚してください
約束通り、食事に行く予定だったが思いの外帰りが遅くなった。

「あのさ……食事に行くって言ったけど日を改めてもいい？」

「え？」

「今からでもいいけどちょっと時間が……」

翠が時間を忘れて長居しすぎたため帰りがずいぶん遅くなっていた。

「す、すみません。約束したのに……」

「いやいいんだ。またデートしてくれた方が僕は嬉しいから」

「……はい……え？デ、デート？」

翠にとっては全く自分とは縁遠い言葉に目が点になる。

すると想定内のリアクションだったのだろう、シュウはくすっと笑った。

「僕はそのつもりだったけどね」

「は、はあ」

シュウのことなど全く頭から離れ、自分の世界にどっぷり浸かっていた翠には、世間でいうデートが今日の自分の行動に当てはまっていたのかさえも謎だった。

そんな少々頭の中が混乱している翠を見ながらシュウは話を続けた。

「それと……もう一つお願いがあるんだけどいいかな」

デートということは一旦置いておき、予定を狂わせてしまった後ろめたさもあり翠は大きく頷いた。

「はい」

「翠って呼んでいい？」

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