求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
目を瞬かすと、真剣な眼差しに射抜かれる。

「会社の窓から中野さんが男といるのが見えた。居ても立っても居られなくなったよ」

ふたりだけのリビングにシンッと静寂が宿る。
切なさに似た声が鼓膜まで響いた。

「好きだよ。ずっと好きだった」

嘘っ、そんなわけ……。

思いがけない告白にただただ驚き、瞬きすら出来ない。すると、上原課長が小さく笑った。

「本当はこんな形じゃなくて、ちゃんと告白したかったんだけど」

照れくさい笑みは初めて見るもの。
告げられた想いに微塵の嘘もないと分かり、胸が熱くなる。

上原課長の瞳がいっそう柔らかい曲線を描き、胸を震わせる声が静寂を破った。

「中野さん。俺と付き合ってください」

「はい……」

迷いはない。
彼をまっすぐ見据えて答えると、愛でるように優しく頬を包まれる。
伏し目がちに見つめられ、音もなく唇が触れ合った。
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