求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
こうして付き合えるようになって、とても幸せだと……。

秘めていた想いをすべて聞き終え、夢でも冗談でもないと改めて感じた。
私は恥ずかしながら恋愛経験は数えるほどしかない。

でも、そんな私でも『遊びで抱かれたわけじゃない』のは相手の目を見れば判断出来る。

比べるのはいけないと思う。
でも、彼はこれまで付き合った誰よりも私を大事に想っている。
そう思わざるを得ないほど彼の瞳は真剣だった。


『中野さんと一緒に暮らせるなら、しばらく手が治らなくていいかなって思ったりしてた……』

ずっと溜めていた想いをすべて吐き出したからか。彼は吹っ切れたように心からの笑みを浮かべた。

それはなぞなぞを解けた子供のようにいじらしいもので、胸がキュンッと疼いた。

新しい恋が始めるとすべてが輝いて見える。
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