求愛一夜～次期社長とふたり暮らししています～
それはさすがに言い過ぎだが、心に余裕があるからだろう。

どうしたって生き生きとするし、仕事にだって張りが出る。肌だって艶やかだ。

恋って素晴らしいなあ。

道端をのんびりと歩く野良猫にまで、微笑みたくなるくらい、心までスキップするよう浮かれながら毎日を過ごした。


今日は土曜の昼下がり。
上原家に同居する三人で、凜ちゃんのママのお見舞いに行くことになった。

上原課長の運転する車で病院に着くが、私達と同じ目的の見舞客が多いのだろう。

駐車場は満車で停められそうもない。

「他の駐車場を探してくるよ。先に行ってて」

「分かりました」

上原課長は私と凜ちゃんを駐車場に降ろし、コインパーキングを探しに車を走らせていった。

「じゃぁ、凜ちゃん。ママに会いに行こう」

「うん！」

凜ちゃんと手を繋いでアルコール消毒の香りが微かにする、玄関ホールに足を運ぶ。
凜ちゃんの母親が入院しているのは、五階だ。
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