求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
遅れてやってきた上原課長と病室で合流し、夕方前に病院を後にした。
担当医の話では、凜ちゃんのママは来週にも退院出来るという。

凜ちゃんのパパはそれに合わせて帰国するらしく、凜ちゃんと三人で暮らすのも、あと僅かとなった。

凜ちゃんと一緒にラランちゃんを見るのも、あと少しかぁ……。

寝る準備を整えた夜の十時。
上原家の寝室で、すやすやと寝息を立てる彼女の寝顔を見つつ、もの寂しい気持ちになる。

物音を立てないよう気をつけながら、灯りが消えた部屋を静かに離れた。

土曜の夜だしお酒でも飲もうかとキッチンに足を向けると、すでに上原課長がグラスをふたつ用意し、晩酌の準備をしてくれていた。

「中野さん。お酒でもどう?」

「ちょうど、飲みたいなって思ってたとこです」

場所をリビングに移し、ソファに横並びに座る。

乾杯と軽くグラスを合わせると、琥珀色の水面が波打つように揺れた。

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