求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~

上原課長との温泉旅行から二週間が過ぎた。
仙台支店の社員食堂で日替わり定食をつつきながら、ため息をついた。

ありさ……誰なんだ。ありさって……。

ものすごく気になったが、上原課長には聞けなかった。別れた夏輝の顔が頭を過ったからだ。
彼と上原課長は別人だ。そんなことは分かってる。

でも、状況は夏輝と別れた時とそれほど変わらない。それが、堪らなく怖い。

遠距離恋愛って、やっぱりダメなのかなぁ……。

心で呟くと、効果音付きでズンッと沈むように落ち込んでしまう。と、そばに置いたバッグが震え出した。

鞄に入れているスマートフォンのバイブだろう。
< 144 / 165 >

この作品をシェア

pagetop