求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
見つめ合う一瞬、彼がポツリと零した。

「中野さんって、そういうとこあるよね……」

そういうとこって何?

彼は麗しい笑みを浮かべ、通りすがりの女性を一瞬で見惚れさせている。
破壊力抜群の笑顔を前に、私は首を傾げた。

言われた意味がさっぱり分からないでいると、場を取り繕うように彼が言う。

「実はこれ、姪っ子に頼まれたんだ」

「なるほど、姪っ子さんへのプレゼントだったんですね」

「うん。妹の子でまだ五歳でね。しばらく家で預かることになって……ああっ、困ったな」

突如、彼はハッと開眼してそれからうなだれてしまう。

「どうかしました?」

「夕飯にオムライスを作る約束をしてたんだ。左手でなんとかしないと……」

「大丈夫です。私が作ります」

「えっ……」

迷いなくきっぱりと告げると、上原課長が目をパチパチと瞬かせる。

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