求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
彼が暮らすマンションは、ここから車で二十分ほどの距離にあるらしい。

夕飯の買い出しに行く為、病院前で待機するタクシーに乗り込み、彼の行きつけのスーパーに立ち寄った。

煉瓦造りのオシャレなスーパーは、私が暮らすアパートの近くにはない高級店だ。
やたら広い店内をカートを押しつつ、ふたりで歩く。と、チラッと目についたトマトの値段に驚愕した。

た、高い! ただのトマトじゃないの!? キャビア入りとか!?

上原課長を怪我させてしまったお詫びに、ここの支払いは私がするつもりだ。

だが、給料日前で財布には三千円しかない。

カードで払えばいいか。それにしても高いなあ……。


心の声が顔に出ていたんだろう。
その後の会計は、上原課長が済ませてくれた。

食材をビニール袋に詰める今、私は恨みがましくブツブツと零す。
< 19 / 165 >

この作品をシェア

pagetop