求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
「完成まで内緒です」

不思議そうな顔をする上原課長に得意げに返す間も、折り続ける手を止めない。

時間にして五分ほどで折り紙が出来た。油性ペンで顔を書いて、完成だ。

「よし、出来た!」

足を投げ出し、ちょこんと座る茶色のテディベア……のような折り紙の熊さんは、凜ちゃんが好きなラランちゃんの相棒として、アニメにも登場する。

絶大な人気を誇るラランちゃんには敵わないが、彼もなかなかの人気者なのだ。

油性ペンの蓋をカチッと締めると、上原課長が感嘆の声を漏らす。

「それ、ベアちゃんだよね!? 折り紙の作り方なんてあるんだねぇ」

「ないですよ。普通の熊をちょっとアレンジしたんです」

「えっ、中野さんが考えたの!?」

「はい」

「すごいね。いや、本当にすごいよ……」

上原課長は折り紙をしげしげと眺め、ひたすら感心する。


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