求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
大したことじゃないのに。上原課長って本当、純粋な人だなぁ……。

混じりのない清らかな心を持つ彼は、やはり育ちがいいのだろうと思わざるを得ない。
彼は大企業の御曹司なのに、ちっとも偉ぶるところがない。

それに加え、美麗で性格までいいときたら、女子社員達が色めき立つのも仕方がないだろう。

「争奪戦を制するのは、誰なんだろうなあ……」

「争奪戦?」

心の声が口をついて出ると、上原課長が不思議そうな顔を向けてきた。
さすがにストレートには言えず、言葉をぼかしつつ口にする。

「いや、そのお……、上原課長って恋人いるのかなって……」

「中野さん、気になるの?」

「うちの会社で気にならない女性社員はいないですよ。いや、男性社員だって気になってますから!」

事実でも冗談っぽく伝えると、上原課長の顔に影が差す。気のせいかもしれない。

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