求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
でも、何か言いたげな瞳は確かに揺れていて、スッと胸が冷えついた。

なんか、悪いこと言っちゃったかな……。

気まずい沈黙が降りたのは、ほんの一瞬。
視線を横にずらしていた彼が、澄んだ瞳で私を見据える。

「恋人はいない。でも、好きな女性はいるよ」

「そうなんですね……」

もしかして片想い? この様子だと、そうだよね……。

誰もが認める彼が片想いとは驚きだ。
だが、性別が女性なら誰でもいいわけじゃないんだろう。

片想いの相手は、さぞ素敵な人なんだろうなぁと思うと、背後で息をのむ気配がした。

「うわぁー、ベアちゃんだ!」

可愛らしい声が背にかかり、上原課長と顔を見合わせる。ふたりで同時に振り返ると、そこには目を爛々と輝かせた凜ちゃんがいた。

「お姉ちゃん。どうやって作ったの!?」


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