求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
天井を突き抜けるほど声を張ると、上原課長は息を止めて私を凝視し、凜ちゃんは目をキラッキラに輝かせた。

「美月ちゃん、明日も来てくれるの!? やったー」

テレビを見ていた凜ちゃんが、ものすごい勢いでこちらに駆け寄り、私の腰に飛びついた。
彼女の頭をいいこいいことばかりに撫でると、上原課長が諦めたように息をつく。

「中野さん。ズルい……」

「すみません。でも、スーパーでの仕返しってことで」

肩を竦めると、上原課長もやれやれというように笑ってくれた。
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