求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
甘えたがりの膝枕で
それから上原家に立ち寄るのが私の日課になった。
利き手が使えない上原課長は何かと不便だろうし、少しでも役に立ちたかったからだ。

彼は怪我が治癒するまで家事専門のヘルパーを雇うことを考えていたようだが、凜ちゃんの人見知りが治ったわけじゃない。

ラランちゃんをきっかけにたまたま懐いてくれただけ。

上原課長の話によると、凜ちゃんの父親は仕事で海外にいるらしい。日本に残った母親と彼女はふたり暮らしをしていた。

しかし、母親の持病が悪化して入院することになった。その間は上原課長が凜ちゃんを預かることになったという。

凜ちゃんは年齢の割にはしっかりしてるが、まだ五歳だ。

まだまだ甘えたい時期だし、両親と離れて暮らすのは寂しいだろう。ストレスだって相当あるはず。

『これ以上、凜ちゃんに精神的な負担を負わせるのはよくないんじゃないですか?』

上原課長に訴えると私の意見は受け入れられた。


そんなわけで上原家に通うようになり、一週間が過ぎた。

外回りを終えて会社に戻る最中、電車のつり革を握りながらふと思う。
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