求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
『パパとママと離れて寂しいけど、凜、頑張る』
この話は、上原課長には内緒にしてくれと彼女に言われた。
それは多分、叔父である彼を気遣ったんだろう。
私がここに住めば、凜ちゃんの寂しさを少しは紛らわせることが出来るだろう。
家事にだって時間をかけられるし、怪我をさせた上原課長の役にも立てる。
寂しさを押し殺し、大人達を気遣う凜ちゃんに視線を流す。
そして、テーブル越しにいる上原課長に向け、にっこりと微笑んだ。
「それじゃぁ。明日からお世話になります」
散々考えたが、社内の人間にバレなければどうってことない。
それを抜いたら、良いこと尽くめじゃないか。
私がそう結論付けると、凜ちゃんの瞳が星を散らばしたように輝いた。
「やったぁ! やったね、あきくん!」
「うん。やったね、凜!」
上原課長も嬉しそうに声を弾ませる。