求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
皮肉を込めた冗談だ。なのに、思いがけず真剣な瞳に捉われる。

「俺が悪かった。やり直そう俺達」

「無理。こういうのやめて」

女子大生の彼女と何があったのか知らないが、不快感が湧き上がる。

『やり直そう俺達』

この言葉にすべて詰まっている。

夏輝は自分から言い寄れば、私が従うと思ってる。なんて傲慢なんだろう、と呆れて黙り込む。

私がそんな態度を取ったからだろう。
彼は私がここに至るまでの経緯を知りたがっていると解釈したようで、別れた後のことを語り出した。


夏輝は、女子大生の彼女に二股をかけられていた。
彼女の本命は同じ大学に通う大学生の彼氏。夏輝はただの浮気相手だったという。

本命彼氏が資格試験の勉強で多忙になり、近くにいた年上の男をつまみ食いした。

彼女はそんな軽い気持ちだったのに、夏輝が本気になって驚いたという。


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