求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
機転を利かせた上原課長の計画に、私も嬉々として乗ることにする。

「そうだよ。一緒に住んでるの私達」

「嘘だ……」

「嘘じゃないよ。だから……」

諦めて帰って……。

そう言い掛けると、夏輝が遮るように声を張った。

「嘘じゃないなら、確認させろよ!」

「はっ……」

はぁぁぁ――!? そこまでする!?

一緒に住んでると言えば、簡単に諦めると思った。まさか、夏輝がそこまで食い下がるとは予想外だ。

『どうしますか?』

上原課長に目で問いかける。彼は小さく肩を竦めて、やれやれという表情だ。

『とりあえず家に帰ろう』

『ですね』

目で相談し合い、仕方なしに夏輝と三人で上原家に向うことにする。

急な雨に降られ、面倒事をさっさと終わらせたくもあり、タクシーまで使った。

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