求愛一夜~次期社長とふたり暮らししています~
上原課長っ、どうして……。

夏輝を納得させる為とはいえ、彼がここまでするとは驚きだ。

だが、流れでこうなったとはいえ、好きな人に触れられる。彼になんの感情がなくても、偽りでも、それでもいい。

まるで、ドラマで騙される都合のいい女じゃないか。それでもいい……。

鼓動を打ち鳴らし、されるがままではなく、自分からも求めるよう広い背中に手を回す。

すると、上原課長が私の髪に手を差し入れ、いっそう隙間なく抱き合って、熱いキスを重ねていく。

上原課長、好き……。

トクンッと響く鼓動はどちらとも分からない。

それほど強く抱き合って、息継ぎの度に見つめ合って、心まで満たされるようなキスを幾度も重ねる。

時間にして、どれくらいそうしていたのか。
夏輝はいつの間にか消えていた。

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