政略結婚は純愛のように~狼社長は新妻を一途に愛しすぎている~
レセプションの夜
外は相変わらずの雪だったが会場は集まった人たちの熱気で暑いくらいだった。
由梨は仕事の書類など一切入らない小さなバッグを抱いて圧倒されるように、入り口に立っている。
お昼休みが済んだころに、加賀から指示を受けたと言って会社に由梨を迎えに来たのは屋敷にいたあの秋元だった。
確かに加賀は早めに出ろと言ったがこれじゃあいくらなんでも早すぎるのではと思う由梨だったが、間に合わなくなりますと急かされて長坂と奈々がひらひらと手を振る中、仕方なく会社を出た。
それから加賀家の御用達だという美容室に連れて行かれて、髪を結いあげられた。
いつもはほとんどしないメイクをほどこされて、一目で上等だとわかる薄緑色の振り袖を着付けられる頃には由梨はぐったりと疲れてしまっていた。
加賀と蜂須賀とは現地で集合だと言われて会場へ送ってもらったはいいけれど、これじゃあ会えるのはいつになることやらと由梨が不安になったとき、肩を叩かれた。
「今井君。」
振り返ると、いたのは蜂須賀だった。
「室長。…良かった。」
由梨は安堵のため息をつく。
「人がいっぱいで…お会い出来ないかと思いました。」
「いや見違えたよ!危うく見過ごすところだった。…普段から可愛らしいとは思っていたけれど、華やかな装いがここまで似合うとはね。」
蜂須賀は大袈裟に言ってから、わざとらしく口を押さえた。
「おっと、こんなことを言うとセクハラになっちゃうかな。」
由梨はくすくすと笑ってしまう。
亡くなった由梨の父よりも年上である蜂須賀は、秘書室のメンバーからはいつもおじいちゃん扱いだ。
由梨がセクハラなどと言わないことはわかっていながら時々こんな風におどけてみせる。
「ははは、社長もお喜びになるだろう。…お待ちかねだよ。さあ、控え室はこっちだ。」
蜂須賀に促されて由梨は加賀の控え室を目指した。
由梨は仕事の書類など一切入らない小さなバッグを抱いて圧倒されるように、入り口に立っている。
お昼休みが済んだころに、加賀から指示を受けたと言って会社に由梨を迎えに来たのは屋敷にいたあの秋元だった。
確かに加賀は早めに出ろと言ったがこれじゃあいくらなんでも早すぎるのではと思う由梨だったが、間に合わなくなりますと急かされて長坂と奈々がひらひらと手を振る中、仕方なく会社を出た。
それから加賀家の御用達だという美容室に連れて行かれて、髪を結いあげられた。
いつもはほとんどしないメイクをほどこされて、一目で上等だとわかる薄緑色の振り袖を着付けられる頃には由梨はぐったりと疲れてしまっていた。
加賀と蜂須賀とは現地で集合だと言われて会場へ送ってもらったはいいけれど、これじゃあ会えるのはいつになることやらと由梨が不安になったとき、肩を叩かれた。
「今井君。」
振り返ると、いたのは蜂須賀だった。
「室長。…良かった。」
由梨は安堵のため息をつく。
「人がいっぱいで…お会い出来ないかと思いました。」
「いや見違えたよ!危うく見過ごすところだった。…普段から可愛らしいとは思っていたけれど、華やかな装いがここまで似合うとはね。」
蜂須賀は大袈裟に言ってから、わざとらしく口を押さえた。
「おっと、こんなことを言うとセクハラになっちゃうかな。」
由梨はくすくすと笑ってしまう。
亡くなった由梨の父よりも年上である蜂須賀は、秘書室のメンバーからはいつもおじいちゃん扱いだ。
由梨がセクハラなどと言わないことはわかっていながら時々こんな風におどけてみせる。
「ははは、社長もお喜びになるだろう。…お待ちかねだよ。さあ、控え室はこっちだ。」
蜂須賀に促されて由梨は加賀の控え室を目指した。