政略結婚は純愛のように~狼社長は新妻を一途に愛しすぎている~
「熱いから気をつけろ。」
そう言って加賀はホットミルクが入ったカップを由梨に差し出す。
「ありがとうございます。」
暖かいカップの熱を両手に感じて由梨の心の中も少し暖まったようだ。
由梨が気にしている自分の未熟な部分は加賀が求めていることではないとはっきり言われて、少し気が楽になった。
由梨にカップを渡した加賀は、戸棚から出したブランデーをグラスに注ぐ。
それを片手にカウンターの椅子に座っている由梨の隣に腰かけた。
ふわりと石鹸の香りを感じて由梨は頬が熱くなるのを感じた。
自分と同じ石鹸の香りが彼をより近くに感じさせる。
頬が赤くなったのをごまかしたくて由梨はホットミルクを口に含む。
「あつっ…!」
冷ますこともせずに口をつけたホットミルクで舌を火傷してしまった。
「あぁ、ほら。ちゃんと冷まさないと。」
由梨の体が揺れて溢れそうになったミルクのカップを加賀の大きな手が包む。
そしてカップを一旦カウンターに置くと背をかがめて由梨を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
由梨は涙目で頷く。
けれどそれでは加賀は納得はしなかった。
ブランデーのグラスを置き、体ごと由梨の方を向いた。
「火傷したんだろう…舌を出せ。見せてみろ。」
端正な加賀の顔に至近距離で見つめられて、顔の方が火傷しそうだと由梨は思う。
パジャマの由梨の両膝が、加賀の長い脚に挟まれているのも恥ずかしくて直視できなかった。
言う通りにしない由梨に焦れたように加賀の大きな両手が由梨の頬を包む。
そして催促するように親指が唇をノックした。
その瞬間、由梨の背中をぞくぞくと得体のしれないものが駆け抜けた。
大したことはない、数日ヒリヒリするだけだから放っておいて下さいと言わなくてはいけないのに言葉がでない。
もう一度ノックされて、由梨はおずおずと舌を出した。
「あぁ、赤くなっているな。…しばらくヒリヒリするぞ。」
そう言ってあろうことか加賀の親指は由梨の舌に触れる。
「んっ…。」
由梨の身体がぴくんと跳ねる。
由梨を見つめる加賀の瞳の中に、何かが灯った。
「由梨。」
いつもより一段低い声で加賀が呼ぶ。
名前を呼ばれるのは初めてなのに、すごく自然なことのように思えるから不思議だ。
やはり彼はアルファーなのだ。
「由梨、…俺は嫌か?少しも考えられない?」
舌を引っ込めた由梨の唇を加賀の親指がゆっくりと辿る。何度も、何度も…。
すでに至近距離にあるアーモンド色の瞳に映る自分の顔が信じられないほど艶めいている。
あぁ私は…紛れもなく社長に恋をしているのだ、そう思ったと同時に由梨は首を振っていた。
「いや…じゃないです…。」
由梨がか細い声で答えた次の瞬間、加賀の唇が由梨の唇に覆い被さった。
そう言って加賀はホットミルクが入ったカップを由梨に差し出す。
「ありがとうございます。」
暖かいカップの熱を両手に感じて由梨の心の中も少し暖まったようだ。
由梨が気にしている自分の未熟な部分は加賀が求めていることではないとはっきり言われて、少し気が楽になった。
由梨にカップを渡した加賀は、戸棚から出したブランデーをグラスに注ぐ。
それを片手にカウンターの椅子に座っている由梨の隣に腰かけた。
ふわりと石鹸の香りを感じて由梨は頬が熱くなるのを感じた。
自分と同じ石鹸の香りが彼をより近くに感じさせる。
頬が赤くなったのをごまかしたくて由梨はホットミルクを口に含む。
「あつっ…!」
冷ますこともせずに口をつけたホットミルクで舌を火傷してしまった。
「あぁ、ほら。ちゃんと冷まさないと。」
由梨の体が揺れて溢れそうになったミルクのカップを加賀の大きな手が包む。
そしてカップを一旦カウンターに置くと背をかがめて由梨を覗き込んだ。
「大丈夫か?」
由梨は涙目で頷く。
けれどそれでは加賀は納得はしなかった。
ブランデーのグラスを置き、体ごと由梨の方を向いた。
「火傷したんだろう…舌を出せ。見せてみろ。」
端正な加賀の顔に至近距離で見つめられて、顔の方が火傷しそうだと由梨は思う。
パジャマの由梨の両膝が、加賀の長い脚に挟まれているのも恥ずかしくて直視できなかった。
言う通りにしない由梨に焦れたように加賀の大きな両手が由梨の頬を包む。
そして催促するように親指が唇をノックした。
その瞬間、由梨の背中をぞくぞくと得体のしれないものが駆け抜けた。
大したことはない、数日ヒリヒリするだけだから放っておいて下さいと言わなくてはいけないのに言葉がでない。
もう一度ノックされて、由梨はおずおずと舌を出した。
「あぁ、赤くなっているな。…しばらくヒリヒリするぞ。」
そう言ってあろうことか加賀の親指は由梨の舌に触れる。
「んっ…。」
由梨の身体がぴくんと跳ねる。
由梨を見つめる加賀の瞳の中に、何かが灯った。
「由梨。」
いつもより一段低い声で加賀が呼ぶ。
名前を呼ばれるのは初めてなのに、すごく自然なことのように思えるから不思議だ。
やはり彼はアルファーなのだ。
「由梨、…俺は嫌か?少しも考えられない?」
舌を引っ込めた由梨の唇を加賀の親指がゆっくりと辿る。何度も、何度も…。
すでに至近距離にあるアーモンド色の瞳に映る自分の顔が信じられないほど艶めいている。
あぁ私は…紛れもなく社長に恋をしているのだ、そう思ったと同時に由梨は首を振っていた。
「いや…じゃないです…。」
由梨がか細い声で答えた次の瞬間、加賀の唇が由梨の唇に覆い被さった。