この雪の下で春を待つ

リークがここに住みつき始めたのはちょうど3年前、鉱山が枯れた年。

リークも両親に捨てられた子供の1人だったのだ。その時リークは7歳。あれから3年、ここで寒さを凌ぎ、盗みを働いて生きてきた。

3年前の捨て子はリーク以外、奴隷になって連れて行かれたか、寒さにやられて凍死した。

身を隠す場所を持っていたリークだけが今もこうしてエリア00で生き抜いているのだ。

「あと3日…それまで何とかなるか」

リークはため込んだ食料が底をつき始めていることに、表情を苦くさせる。3日後はクリスマスだ。人々が浮かれ、盗みがしやすい。

それに気前のいい奴は恵んでくれるのだ。これほど安易な日はない。

それまでどうにかポールの家で盗みに働くしかない。

クリスマスに食べ物と金を調達して、新年になってまたそこでため込む。それで何とか冬を越す。

もし、食べ物が足りなくなったら金を使えばいい。金なら徐々にため込んでいて少し余裕はある。

だからと言って、それは最後の手段であることはリークも重々承知していた。
< 10 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop