この雪の下で春を待つ

もう我慢の限界だ。明日からずっとこんな調子が続くのだろうと容易に想像できて、リークはもう一度深くため息をついた。

「フー、もう寝ろ!」

真っ赤な毛布を両手で広げ、暴れるフーの体を包み込む。そのまま抱きしめて大泣きするフーをあやすように背中を撫でる。

そうしている間にもフーはグーパンチでぽかぽかリークの胸を叩きまくっている。1回1回のダメージはそれほど大きくないが、回数が重なるとそれなりに痛い。

さりげなくフーの両手を使えないように抱きしめ直して、背中を撫で続ける。

しばらくすると、フーはうとうとしながらもリークへの八つ当たりをしていたが、襲ってきた眠気に勝つことなく眠りの世界に落ちて行った。

寝息を立てるフーをそっと地面に横たえる。顔に残った涙の後を指先でなぞる。

本当は遊ばせてやりたい。でもそれをすればきっと危険は増す。リスクは少なければ少ない方がいい。
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