この雪の下で春を待つ

「フー、早く戻れ!」

「ん?」

「動くな!リークもフーも動くな」

逃げる機会は失われた。

猟銃を手にしたジーンが隠れていた場所から出てきてリークとフーに銃口を向ける。圧倒的な武器を前にリークは何も言いだせず、その場に踏みとどまる。

「う…なんで…?」

フーが背後で怯えているのが分かる。リークはフーに駆け寄りたいのを、理性を総動員して止め、その場に残った。

ジーンは、呼吸が荒くままリークとフーに近づいてきた。

目はぎらぎらと光り、クマは一層深くなっているようだった。
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