この雪の下で春を待つ
「頼む。アンジュを助けてくれ!頼む…もう俺にはどうしようもできない…」
訳が分からなかった。どうしてジーンが自分の目の前で土下座をしているのか、涙ながらに懇願されていることが、訳が分からなかった。
我を取り戻した冷静な脳が、急に冴える。リークはジーンを睨みつけた。
「土下座する相手間違ってないか?俺は病気を治せない」
「まじないを作って欲しい」
「まじない?」
「お前が作るガラスの装飾だ。病魔を払う絵を描いてほしい。報酬はそっちの言い値で構わない」
リークは疑り深い目をしたまま、ジーンを見下ろす。
「死ねって言ったら死ぬの?」