この雪の下で春を待つ
雪が舞う。またこの地に雪が積もる。
ジーンは己の体に雪が積もっても微動たにしなかった。死んだのかと思えるほどに。
リークはしばらくジーンを見つめていたが、やがてジーンから視線を外した。
「フーおいで」
フーは呼ばれるとすぐにリークに飛びつく。リークはもう、ジーンを見なかった。
ジーンは絶望する。孤児にさえも見捨てられる。そんな自分が恥で、どこまでも滑稽だった。
「5日、待てるか」
絶望の淵から救い出す声がかかる。
顔を上げると、リークが少しだけこちらを見ていた。目が問いている。待てるか、否か。