この雪の下で春を待つ
間に合わなかったのか?
嫌な思考が脳裏をかすめる。手が限界になり、降ろしてすぐだった。突然戸が開き、中からジーンが出てきた。
「リーク、お前…」
「約束だったろ、それで間に合ったの?」
早く出ろバカと内心毒づきながらも、そう問うとジーンは戸を大きく開いて家の中に招き入れた。
「かなり衰弱してる。だけど、生きてる」
少し苦笑してそう答えたジーンは戸惑うリークの背を押して家の中へ入れた。
ジーンの先導に従って部屋を進むと、リビングと思われる部屋で小さな赤子がベビーベッドに寝かされていた。母親が赤ん坊に付きっ切りで傍にいたのだろう、疲れからか眠っていた。
2人を起こさないようにジーンは歩み寄って、赤子を抱き上げてリークに見せた。リークは充分に距離を取ったまま、赤子を見る。