この雪の下で春を待つ

体に赤い斑の発疹が出来ている。熱にうなされて苦しそうだ。

「…どれくらい広まってるの?」

「5人死んだ。患者は20人で、そのうち危ないのが3人だ」

「孤児は?」

「もうほとんど死んだよ。生きてる奴はポールの奴が全員回収していった」

ジーンは赤ん坊をベッドに戻しながらそう言い返して、こちらに近づいてきた。

リークはそうと返して、持ってきたコップを差し出した。ジーンはそれを慎重に受け取る。

「もうこれでしまいだ」

「何が」

「お前の注文を受けるのも、関わるのもこれで最後。いいな」

リークの言葉にジーンは戸惑ったが、リークの強い目に頷くことしか出来なかった。
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