この雪の下で春を待つ

「俺が病原菌を撒き散らしただと?」

「そうさ、孤児を劣悪な環境に集めていれば当然虫がわく。そいつらがこの今の状況を作ったのさ。お前、死んだ孤児をまた街に捨ててるんだろ。それが更に病気を呼ぶんだ。お前がエリア00を壊滅させたんだよ」

「…っは、そんなこと俺には関係ねぇさ。こんなとこに人が住んでるのがおかしいんだよ」

ポールはそう言うと、突然フーの腕を掴むと立ち上がらせる。

「いや!!」

「フーを離せ!!」

「だから、やめろって言ってのが聞こえねぇのか」

ダイの低い声が聞こえた直後、辺りに響いた銃声。

愕然とするリークとフーの目の前で、ポールの右手から血が噴き出して返り血がフーにかかる。

何が起こったのか、ポール自身にも分からなかった。その場に座り込んだフーは呆然と硝煙の上がる拳銃を構えるダイを見つめた。
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