この雪の下で春を待つ
「ッうわぁぁあああ!!?」
「汚ねぇ手でガキに触れてんじゃねぇよ」
さらにもう1発銃声が響く。するとポールの首筋に銃創が付き、わずかに血がにじむ。
ダイはポールを睨み殺すかのような視線を送りながらも今度は心臓に銃口を向けた。
「消えろ、二度とこいつらに手出すんじゃねぇぞ」
ダイの本気の殺気に、ポールは舌打ちして背を向けて逃げ出した。
ポールの去る背を見つめていたがほど近くで聞こえた足音に振り返ると、ダイがすぐ目の前にいた。
ダイは怯えるフーには目を向けずにリークの傷を診た。少し悩んだ後、コートを脱いでリークにかける。
「縫わなきゃなんねぇ。俺の家に来い」
「どうして助けた?」
「あの奴隷商が気に食わなかっただけだ。チビ、お前も来い」
そう言いながらも、既にリークを抱き上げてしまったダイは自分を見上げてくるフーにそう言うとさっさと歩き出した。
フーは慌ててダイの後に続き、リークはおとなしくダイに抱き上げられていた。