この雪の下で春を待つ

自分の腹に浮かんだ赤の斑状の発疹。今の自分の症状を合わせて考えても浮かぶ病名は1つしかない。

チフスに罹ってしまった。

一体いつ?いや、もとから清潔とは言えない環境で暮らしてきたのだ。湧いたダニやシラミにやられた可能性だってある。

顔を上げる。フーが自分を心配そうに見つめている。

フーはいつも通り元気だ。チフスに罹っているとは思えない。まだ、潜伏期間なのかもしれない。

だが、罹っていない可能性だってゼロではない。

早く、早くフーを自分から遠ざけなければ。まだ、フーがチフスの刃に捕らえられる前に、この子を一刻も早く自分から引き離さなければ…。
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