この雪の下で春を待つ

「リーク?」

「…フー、出て行け」

「っえ?」

「いいから、早く出てけ!!」
突然過ぎる別れの言葉に、フーは当たり前のように戸惑った顔を見せる。

それでも、リークは心を鬼にしてフーを助けるために思ってもいない言葉を吐く。

ようやく意味を理解したフーは、泣き出しそうな顔をして手を伸ばしてくる。

「リーク…」

「触るな!もう二度とここに来るな、お前の顔なんてもう見たくない!!」

自分でもわけわかんないと思う。

突然こんなこと言って、一緒にいようって約束したのに…。自分で言った約束を守れないなんて最悪じゃないか。

それでももう、こうする事しか、自分にフーを守ることなんて出来なくて…。

フーは伸ばしてきた手を下ろして、ふらふらと立ち上がってそのまま部屋を出て行った。

 1人になって、部屋の中を眺める。

こんなにこの部屋を広くて、冷たいなんて思ったこと初めてだった。自嘲気味に笑って、リークは服を纏うとその場に倒れ目を閉じた。
< 137 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop