この雪の下で春を待つ

「前払金だ。それじゃ、10日以内に頼むぜ」

「はは、浮かれすぎ。盗みの対象だな」

「おいおい、勘弁してくれ」

「心配しなくても当分はあのブタの厄介になるよ」

リークはそれだけ言うと修道院の奥に引っ込んでいった。ジーンは苦笑いを浮かべて、街へと戻っていく。

また穴を潜って地下室に入ると、花瓶の中に入った銅貨を木箱の中にある袋に入れる。そこには銅貨や銀貨がぎっしり詰まっていた。それを再び木箱に戻し、代わりに取り出したのは5本の彫刻刀だ。

リークは簡素な机に花瓶と彫刻刀を置き、散らばっていた本の一つに手を伸ばす。それは植物図鑑で、スノードロップのページを開く。

ポケットに手を突っ込んで、取り出したのは2つのコルク。それを耳の穴に突っ込んで、椅子に腰かけた。
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