この雪の下で春を待つ
[オオカミの娘、行きなさい。そして、もうここには来ちゃいけないよ。お前はもう人間の世界の住人だ]
「ありがとう、狐さん」
狐は少し笑ったように口角を上げて、森の中に去って行った。フーは狐を見送った後、母の墓の前にもう一度座った。
「まんま、もう行くね」
今度来るときはリークも連れて来るよ。あぁ…でも狐さんに怒られちゃうな…。
フーは立ち上がると山を下って行った。駆け出していく少女を墓の隣に座っているオオカミの霊がその姿が見えなくなるまで、ずっと見送っていた。