この雪の下で春を待つ

雪に覆われた荒野を駆けるフーは、何度も足を雪にとられて転びそうになっても走り続けた。日は既に傾き、辺りは暗闇と化す。

走り続け、体力も気力も限界をとうに超えた。それでもフーは走るのをやめずに走り続け、辺りが完全に暗闇に落ちた時、ようやく修道院の前にたどり着いた。

ここで倒れるわけにもいかず、重たい体を引きずって半分倒壊した修道院の中に入る。

そして、リークがいる地下の部屋の入り口である床を外して、中に体を滑り込ませる。

「リーク!」

リークはうつぶせで倒れていた。

急いで近づくと苦しそうな息遣いが聞こえてきて、フーはリークの体を上向きに寝かせ、上半身を抱えて身を起こさせる。

「ごめんね…寒いの…リーク嫌いなのに…」

1人にしてごめんね…。
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