この雪の下で春を待つ

 翌日、目を覚ましたフーは飛び起きてリークの顔を覗き込む。呼吸は荒くないが、小刻みに震えているようだ。木の実が効いている証拠。


フーはリークの左手を掴んで、頭を撫でる。

傍にいるから、だから目を覚まして…また抱きしめて?

不意にリークが左手を引き寄せて、フーの手がリークの体に触れる。そうしたかと思うと、腕に抱きついてきた。

きっと寒いのだ。この木の実はチフスを治す代わりに目を覚ますまでの間、体温調節を狂わせてしまう。

フーはリークの隣に身を横たえて、リークをそっと抱きしめた。

するとそれ以上の力で抱きしめられる。肩に顔をすり寄せられる。くすぐったくて、それでもリークがかわいいと思うと心が温かくなった。
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