この雪の下で春を待つ

「フー…」

寝言だろうか、リークはそう言うと穏やかな笑みを浮かべた。腕に力が入る。

だが、その表情はすぐに苦悶の表情へと変わってしまう。

「フー…ごめん、ごめん…」

苦しそうにそうつぶやいたリークの頭を撫でる。

「フー…どこにも行かないで…」

弱々しい声でつぶやいたリークをフーは優しく見つめる。

「大丈夫…行かないよ?」

大丈夫だよ、リークの傍にいるよ。どこにも行かないよ。だから、安心して?

リークの背を撫でる。母がそうしてくれたように、抱きしめて傍にいて温めてあげる。

そうされると安心するのを知っている。包まれるぬくもりが大好きだったから、寒い時だってこのぬくもりがあれば大丈夫だって思えるんだよ。

リークを離さないように、フーはリークに寄り添い続けた。
< 149 / 203 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop