この雪の下で春を待つ
「フー…」
寝言だろうか、リークはそう言うと穏やかな笑みを浮かべた。腕に力が入る。
だが、その表情はすぐに苦悶の表情へと変わってしまう。
「フー…ごめん、ごめん…」
苦しそうにそうつぶやいたリークの頭を撫でる。
「フー…どこにも行かないで…」
弱々しい声でつぶやいたリークをフーは優しく見つめる。
「大丈夫…行かないよ?」
大丈夫だよ、リークの傍にいるよ。どこにも行かないよ。だから、安心して?
リークの背を撫でる。母がそうしてくれたように、抱きしめて傍にいて温めてあげる。
そうされると安心するのを知っている。包まれるぬくもりが大好きだったから、寒い時だってこのぬくもりがあれば大丈夫だって思えるんだよ。
リークを離さないように、フーはリークに寄り添い続けた。