この雪の下で春を待つ

それから3日は花瓶の装飾のために地下に籠った。

エリア00は日の出ている時間が冬になると3時間程度しかない。わずかな時間の中で仕上げなければならないのは苦難だったが、いつもより高い報酬を約束しているせいもあり、疎かには出来なかった。

だが、4日目の今日だけはそんな仕事も放りだして街へ出た。

街には予想通り、クリスマスで浮かれた人々が露店を出している。そして、わずかなおこぼれをもらおうと孤児たちが集まっていた

「食べ物を分けて…」

「退いた退いた、商売の邪魔だ」

食べ物をねだる孤児たちを露店の店主たちは軽くあしらう。

こんな開けた、孤児の集まる場所で食べ物を分け与えれば、他の孤児たちも全員やってきてしまうからだ。

リークはそんな孤児たちには見向きもせずに、裏路地を使って露店の背後に回り込む。
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